2013年10月21日

第19回(1)伝統構法を考える勉強会…伝統建築技術が当面する問題点―その要因― 伝統建築技術の先進性と建築基準法の問題点

 
 2013.10.19 中央工学校17号館4階 1741教室
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【報告】 講義の動画をご覧ください。

※渡辺一正先生より、当日伝えたかったこととしてメールをいただきましたので以下に転載いたします。

 伝統木造建築技術の今後の発展のために

これが廃れるということは、日本の文化の荒廃を意味する。
しかし、国土交通省の無思慮な施策によって窮地に立たされ、挙句の果ては、耐震という名目で文化財まで改変を余儀なくされている。
加えて、省エネルギーの推進と言う名目で伝統技術が脅かされている。
伝統建築技術と建築基準法とでは、基盤に置いている考え方が異なるためにこの行き違いが生まれている。
伝統木造建築技術は、種々の物質・事象が複雑に混じり合った自然の力を最大限に活用するシステムであるのに対して建築基準法が基盤とする近代工学は人工的に制御された物質・環境・事象のみを良しとし、元来混成的な自然を受け入れるシステムを欠いている。

2011・3・11の津波災害は、決して偶然に生まれた災害ではなく、近代工学の敗北を示すものであった。
多くの防潮堤は、津波の襲来するより以前に損傷を蒙り、原子炉も少なくも制御システムなしは制御システムを駆動する電源システムに大きな損傷を受けていたがために津波の攻撃に耐えきれなかった。現時点での技術で管理した空間が如何に脆いかを示したものと言えよう。
近代工学が更に発展して複雑な自然を完全に読み熟すことが可能となれば、このような過ちは生まれなかったとも思われるが、近代工学はそこまでのレベルまで成長しているとは言えない。
このような認識は、かつて建築基準法を制定した当時にあった議論でもあり、それがために文化財等については適用除外という措置が取られているが、この適用除外範囲を伝統木造建築技術にも拡大し、伝統木造建築技術の自由な発展を阻害しないようにすることが、わが国の文化を一層肥沃にする上で必要と考えられる。

伝統木造建築技術と非伝統木造建築技術をどう識別するかは、確かに問題であるが、それは大工棟梁を頂点とする個々の学派が存在するので、これら学派の間での協議によって基準を設け、その社会の中での技術・文化の向上を促す組織を形成すると共にこれら組織が責任を担い得る社会システムを構築する必要がある。これらは、無論、伝統木造建築技術を担う大工棟梁を頂点とする技術者・技能者集団が行うことであるが、建築基準法の制定以来、これらの仕組みは著しく弱体化しているので、これを支援する国の政策が必要であり、これを政府に要求する必要がある。


Kazumasa Watanabe

  
◆【報告】 動画を見る
posted by これ木連 at 11:02 | Comment(0) | 第19回勉強会(渡辺一正氏)報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする