2010年04月13日

第4回伝統構法を考える勉強会報告(2)・・・地震動の多様性

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地震動をよくよく眺めてみますと、非常にバリエーションが豊富です。
阪神淡路の地震動の速度を眺めるだけでも、すごいバリエーションがあります。これが一様だなどとはとても言えません。揺れの早さは場所によって皆違う。ですから、今Eディフェンスで、どの地震波を使って実験をしようかなどと言って、いつも悩んで実験波を選んでいるのです。この建物にはこれが良いかななどといった感じで選んでいる訳です。
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20090718kougi_20.jpg地震動というのは、地下の地形、地盤の構造は平らではないので、反射して焦点が生まれてしまうと共振・共鳴してしまうと非常に激しい振動となるし、逆に打ち消し合う場合もある。大体このゾーンで地震が来ることが分かっていても、そこのポイントでどれくらいの地震力が来るのかは予測できる筈がありません。地下の構造が全部測定すれば、もう少し精度は上がると思いますが、全ての建物でできるとはとても思えません。
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地震の変位というのは、こういった地割れを起こすわけです。これは残留地割れで、瞬間的にはもっと広がっていたでしょう。たとえば、僕らの知っている大きな地震で阪神淡路の4年後(1999/9/21)に、台湾であった集集地震では垂直変位8m、水平変位10mを記録しています。垂直8m、水平10mに斜めに2秒程度で動いたんですが、そういう地震に耐えるというのは、耐えられないと考える方が正しいのではないかと思います。ですから、耐震というのは本質的にはないだろうという話です。
20090718kougi_22.jpg 地震入力は決められるかを考えてみましょう。工学的基盤というものを仮定しているのです。これが、ある確率の中ではある程度の妥当性があると考えている訳です。しかし、確率を超える地震はいくらでもあるということです。
震源の深さは、例えば鳥取地震では6Kmです。阪神淡路では20Kmぐらい。全体で数Kmから100Km強と非常に幅があります。地盤の形状というのは三次元的に非常に複雑です。どこかで焦点が生まれる、あるいはどこかで打ち消しあうこともあります。断層の状態は重要なのですが、それを知る手立ては極めてわずかです。
20090718kougi_23.jpg外力に限度はないだろうと思います。ですから、地盤と建物を緊結する際に、もう少しリミッターの概念がやはり必要だろうと思います。入力がある程度以上入ってこないとしておくことが重要でしょう。それを免振とするという話でなくてもよいと思います。

免振というと摩擦係数を0.1とか、0.2にしなさいとか言いますけれど、それは実は大変なことです。しかし、普通に建物を置いておくだけでも0.4とか0.5ですから、0.4でも1の地震が入るよりずっと楽です。だから、そういった仕組みは活用した方が良いのではないか思います。
入力リミッターは、ある意味では免振システム、アイソレーター。摩擦係数ゼロが理想形なわけです。今は制振と免振の組み合わせで普通は考えています。制振というのは、基本的にはダンパーで、振動の減衰を助ける。実は、制振ということは本質的に木造建築がもともとに持っている特性に近いですね。それは木材の持つめり込みが制振に効いてしまうからです。これをどのように定量化するのかという話がきちんとされていないので、十分な状態ではないわけです。

摩擦係数が大きくてもある程度の免振になれば、入力リミッターにはなります。入力の上限が確定することで、はじめて構造設計、構造計画が可能になります。入力が分からない限りは実は構造計画はできない筈です。その段階では何をやっても意味がないということです。

耐震性ゼロの建物はこれまた実際にはできない。これを設計できる人がいたら僕は知りたい。居住性を得ようと思ったら耐震性ゼロは絶対にできません。一定の耐震性は可能です。その可能性をもう少しロジカルに考えていきましょうというということです。
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僕は大工ではないので、本当にそうかどうかは少し怪しいけれど。古の大工さんにとっては、地震は無限の力であったと思います。地震を侮るなんてことはある筈がない。恐ろしかったに違いない。その中で生き抜くことを必至に考えたわけです。そのとき考えたことというのは、壊れてもよい部材があり、壊れて困る部材もあるということではなかったか。だから、壊れて困る部材は必至に残したいと考えたわけです。でもこれは壊れてもよいという部分もあっただろうと思うのです。これが、階層性の基本的なコンセプトの一つです。
一部の部材が壊れたとき、そのときに建物の全体の安全性が増すようなことが出来ないのかと、これが出来ると魅力的だろうと思いますけれど。これが電気製品でいうヒューズの概念ですね。ヒューズが飛ぶことによって心臓部を壊さずにすむ訳です。
もう一つ、材料の特性を余すことなく活用することを大工さんたちは一生懸命考えていることです。
それから、材料の致命的な欠陥、割裂ですけれど、大工さんがいちばん嫌ったことです。他にもあると思いますが、割裂への対応を必至にやっているわけです。こういったことを彼らは当たり前に考えていたことだと思います。

入力リミッターとしての基礎の考えですが、礎石と柱の間に団子を作ってその上に載せています。これはけっこううまく出来ている。ある意味での一種の免振?、いや免振にはならないですね。摩擦係数は非常に高い。だけれども、これで建物が持ち上がると位置のエネルギー分だけエネルギーロスがでますから、この団子の高さは実に重要です。建物全体が団子の高さ分だけ移動するわけです。その位置のエネルギーによるエネルギーロスをここでは期待しているわけです。これは独立基礎と柱の関係になっていますが、これを布基礎と土台という感じで現代的には考え直したら良いのではと思います。



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posted by これ木連 at 12:24 | Comment(0) | 第4回勉強会(渡辺一正氏)報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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