2010年04月13日

第4回伝統構法を考える勉強会報告(4)・・・建築基準法の課題 上屋の基礎への緊結

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建築基準法は悩ましい課題を内包しています。基礎へ緊結をしなさいと書いてありますね。これをどうやって読み下すかという話ですけれど。今これをクリアできる方法は免振しかないですね。免振は許されるけれど、それ以外は緊結しなさいと言うわけです。

今日、提案しているのは、あやしげな免振を少しどうにかしようではないかということを言っている訳です。
緊結させる理由は、風に対する問題が非常に大きかったですね。建物の比重で考えると、木造建築は非常に軽いです。アバウトにみると0.4〜0.7とたいていは水に浮いてしまいます。耐震ということで屋根を一生懸命軽量化していますが、これを進めれば進めるほど実は風で浮いてしまいます。

地震時の挙動はなかなか分かり難い。地震入力の限界を決めることができるのであればいいのでしょうが、緊結していないときに地震時にどう動くか分からないと困るじゃないかと言っているわけですね。摩擦係数がそんなに明瞭ではないので、ほんとうに地震入力の限界が決るのですかという疑問もあります。もっと一番困るのは変位の限界がないじゃないかと言っている。これを何とかしてください。これを何とかしてくれれば、緊結をしなくても良いですよとある意味では言っているわけです。
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建築の世界の人と土木の世界の人は仲が悪いですが、世界的には、建築のエンジニアと土木のエンジニアは同じという国のほうが多いんです。日本は見事に別れています。
橋梁の世界ではどうしているか。橋梁は阪神淡路のときにストッパーが壊れたみたいです。橋梁は基本的にはピンローラー支持です。動くような支持です。
何十メートルという部材をポンと置いただけでも大変形を起こす。それを固定することは施工的にはできません。ほとんどの場合がピンローラーで、変形のストッパーを用意しておく。ストッパーは地震時や風のときに働く。それが阪神淡路のときに壊れてしまった。壊れたために桁が落ちてしまった。これを慌てて改良したわけです。ダンパーに変えた。ビスカスダンパーに変えたというのがこれです。中に一種のシリコンゴムですね。少し動き難いけれど動くというダンパー。動きながらエネルギーを吸収する。そうして、ある変位までできっと止まるだろうということをやっているわけです。

そういった方法は建築でもできるだろうと思うわけですね。先ほど見ていただいた様な伝統的な建築では、太古は柱の下にホゾがあって礎石の穴に差している。これは古代以降は使っていない。水が溜まりすぐ腐ってしまい具合が悪いということでしょう。逆向きに変わっていくわけです。この瘤の僅かな厚さがたいへん重要です。この厚さ分だけのエネルギーロスをおこしてくれるということで、さきほどのビスカスダンパーとどちらがよいか分からないくらいに有効な仕組みだと思います。
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20090718kougi_40.jpg柱脚をつなぐことは絶対に重要です。土台か地覆かなどが必要になります。昔は地長押を入れました。地長押が地貫に変わる。地長押は信頼性の高い工法だった。それが地覆に変わった。ただ、地覆は実際には柱脚との取り合いは怪しげです。あれが完全に出来ている事例はあまり知りません。本当に引っ張りに効くのだろうかということです。

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20090718kougi_43.jpg土台が何で嫌われたかというと、めり込みですね。土台が本当は望ましいのですが、建物が100年単位ではめり込んでしまい、ガタガタになってしまう。

100年住宅とかあるいは200年住宅とか言ったら、土台が使えないわけですね。ではどうしたら良いのか。ホゾを貫通させてあげるという方法を採ったわけです。ホゾが抜けていれば雨水も抜けてくれる。防腐にも効果的なわけです。

柱脚をつなぐための信頼度が高いのは地長押です。しかし、地長押を留めるのが難しい。木製の鎹を造り大変な苦労することになる。出来ないことはないのですが、そういうものに代わって貫が生まれました。その方がずっと留め方が楽になります。

今度は、それに対して大工さんたちは楔が緩むことに悩むわけです。こんな工夫をしている人もいます。抜け難くはなりますが、加工は大変ですね。
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20090718kougi_47.jpg大工さんたちは実は固いフレームを造りたいという話があります。それ以前に、大きなスパンの部材を小さな部材でも受けられるように、横架材の支持ということで苦労をしています。こういった方杖を使うとか、柱を太くしてみたり。

社寺では斗を使ってやります。斗は一般化しています。それと違うのは伝統的な構法による住宅では、通し柱と管柱とそれをつなぐ貫という構造に代わっている。原理はさほど変わりません。この出でスパンを短くしている。

継ぎ手の剛性が上がらないということで、継ぎ手のない部材、ただ一本の部材の方が剛性を大きくすることが出来るに決っています。
継ぎ手のあるものはどんなに工夫しても剛性は小さくなってしまう。無論、大きな添え木をした時には、補うことはできます。

仕口はもっと難しい。一つの木材を削りだして仕口を作れば剛性を高くできますが、こんなものは出来る筈はない。唯一あるのが股木です。この剛性は断然高い。

仕口の接合部は股木に比べれば絶対剛性が小さい。だから木造ラーメンというのは一本の柱と一本の梁を使ってやる限り木造のラーメンができるというのはどだい無理な話で、例えば方杖などで補強すれば何とかなるということです。

でも、伝統的軸組構法というものは基本的にはラーメンを志向していますから、それをどうやってやるか。土台と足固めの二部材で柱脚を固定する。これは剛性の高い固定をしているわけです。それから、桁と鴨居を組にして柱頭を固定する。これも同じです。平行する2本の部材を一対として考えるということです。この一対を一対とさせるためには貫とかあるいは長押とかを使うという話になります。

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posted by これ木連 at 10:09 | Comment(0) | 第4回勉強会(渡辺一正氏)報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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