2010年04月13日

第4回伝統構法を考える勉強会報告(6)・・・木造建築の難しさ

20090718kougi_63.jpg木造建築はやはり設計が難しいですね。難しいというのは先ほどから言っているめり込みは避け難いですね。しかし、大工さんはこれを活用して、ディテールとしている。楔は木のめり込み無しには固まりません。シャチで胴付き面を引き寄せるというのも同じです。このように大工さんはめり込みをもともと活用しています。同時にめり込みにはダンパー機能もあり、それらをどう評価し、活用していくのかが必要です。

面倒なのは、木の乾燥収縮です。これに非常に神経質になると、今の乾燥材以外は木材ではないと言われる社会になってしまう。集成材以外は木材じゃないなどとも言われる。
そこで乾燥に耐えるディテールを考えることが必要になってくる。ボルト締め接合などは当然避けた方が良いでしょうし、影響を受け難い構造計画というものを
考えるわけです。
伝統構法そのものには、乾燥収縮をもともと想定している技術の蓄積があると思うので、それをきちんと見直せばよい。
割裂の生じ難い受け方、接合部、集中荷重は避ける。割裂の危険性がどうしてもあるというものは補強したらよいということです。
20090718kougi_64.jpg伝統建築におけるフェイルセーフということは大工さんはもともと行っていることです。割裂防止では接合部にタガを巻いています。部材を大きく構成する。つまり、通し柱と管柱の距離を大きく離しています。離してあげると全体として一体で働けば、距離が遠いですから曲げには剛性が稼げます。細い材でも強く使える、強い構造を造ろうと考えています。

土壁は脆弱だと。これが実は重要です。脆弱だから軸組みを保護してくれている。徐々に壊れていく順序を決めていく。軸組みの破損という中にも、この破損は許せてもこの破損は許せないという順序があります。破損によって緩みが生まれれば、実は振動を伝達しなくなってしまう。これを活用することもできます。損傷によって固有周期が長期化するので、地震入力が緩和できます。
伝統建築技術は古代から現代まで日進月歩で変化して来ています。今日、このフェイルセーフの概念があるので伝統建築技術こそ先端技術だということを言えるだろうと思います。

自然災害はまさに無限です。この怖さに対応するということが大工さんたちがやってきた工夫の基本です。やってきたことは、部材の合成部材化、部材の勝ち負けの吟味。それから部材の逃げを造る、これは弱点の設計ということです。これが階層性の基本です。伝統木造建築の粘りを生んでいます。
20090718kougi_65.jpg
2009_0718_0039s.jpg これをRC造でやっているのが、菊竹さんが昭和39年に設計した建築で柱を合成柱に変えて、うまい具合に細いメンバーできれいな建物を造っています。

今、僕がやっているのは、細径の丸太で30mの橋を造ろうというものです。どの材も10cm程度の丸太で造ってしまおうという乱暴なことを考えています。本当は柱を間にもう少し入れられるといいのですが。この下弦の桁と上弦の桁を合わせて一つの桁にしています。この桁の中を人が歩くという歩道橋です。大きく部材を分けてその間を人間が使える空間にしてしまう。これは伝統木構造でやっている一つの手法を現代的にもう一回考え直してやろうとしています。

なぜ丸太か。丸太であれば加工がいらないですね。ここでは曲がり方杖を使っています。一種のプレストレスです。曲がっている筋違いというのは、圧縮にも引張りにも効きます。どちらにも弱いですけれど。でも、この全体を一体化するという一つの方法です。柱の一本一本も丸太9本を合わせて一本に、撚り線のシステムを使っています。こんな考えで木橋を造くろうかなと思っています。

休憩無しに一気に話しました。この後質問があれば宜しくお願いしたいと思います。(拍手)
2009_0718_0041s.jpg


 <1> <2> <3> <4> <5> <6>


posted by これ木連 at 08:40 | Comment(1) | 第4回勉強会(渡辺一正氏)報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
地方(広島)に住んでいる私にとっては、勉強会の報告を詳細に亘り行って下さって大変感謝しています。「ガチガチ構造でない」伝統木造の新たな展開時期にあたり、この勉強会の有意義性を賞賛します。
Posted by 大野 義昭 at 2010年06月27日 10:12
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。