2010年12月06日

第5回[拡大]勉強会講演:鈴木祥之教授<1>・・・伝統構法木造住宅の耐震性能

              ※木の建築フォラム機関紙「木の建築」25に掲載記事を再テキスト化したものです。
              写真は当日撮影したものを多数活用しています。

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鈴木 祥之氏
(立命館大学 グローバルイノベーション研究機構教授)

          伝統構法木造住宅の耐震性能

su-2009_1010_0045.jpg伝統構法の耐震性能はどういったものなのか。
最初に地震被害について、そのあとEディフェンス等で行っております伝統軸組の実験、今日の課題となりそうな柱脚の滑りの問題等についてお話させていただきます。
■地震被害に見る伝統構法建築物の耐震性
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阪神淡路大震災以後にも数々の大地震があって、そのために木造住宅が大きな被害を受けております。我々も、地震の被害調査等を通じで、木造住宅の耐震性、特に伝統構法の耐震性に関して調査研究を行っております。
 2007年の能登半島地震、新潟中越沖地震を中心にお話させていただきます。

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まず、能登半島地震ですけれども、このように伝統構法の建物が倒壊、大破という形で被害を受けています。
必ずしも全ての伝統構法が被害を受けている訳ではありませんが、大きな被害を受けた写真です。


中越沖地震ですが、瓦屋根の住宅がたくさん壊れています。こういったことがテレビや新聞で報道されることもあり瓦屋根の家は弱いのかと言われるわけですね。
けっしてそうではなくて、重量の重い瓦屋根が載っていても大丈夫な建物もたくさんあるし、そういうふうに設計することもできるわけです。
一方で、こういった新建築も大きな被害を受けているということで、これらについてもいろいろ研究が進められるでしよう。

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これは町屋なんですけれど、いかにも倒れそうなイメージがありますけれども、実はそんなに大きな被害は受けておりません。土壁の表面が剥離している程度の被害です。建物は大きく変形していたと推測されます。
障子も変形していまして、一番大きく変形していたものはだいたい1/5ぐらいの変形角です。
ということは、地震のときにそれぐらいの揺れがあったのではないか考えられるわけです。ただ、この建物は軸組等に大きな被害を受けておりませんでそのまま使えます。伝統構法には、このように大きな変形性能があるという事例です。

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この地震で、いくつか被害を受けた伝統構法の建物を限界耐力計算を使って、実際にどの程度の耐震性能があるかを検証しています。この建物は、ほとんど被害がなくて、いわば軽微な被害といえると思います。
建具等の観察から少し変形したことが確認できます。これが平面図で、ここから耐震要素を拾い出します。

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限界耐力計算では、小壁とか腰壁など壁量計算では雑壁として含まない要素を全てを見込んで、復元力特性を構築して計算します。

計算結果は、いわゆる大地震、きわめて稀に発生する地震動に対しての安全限界に対して、桁行き方向で1/24、梁間方向で1/23。計算上は1/30を超えましたが、実際にはそれほど大きな被害はないという状況です。

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こちらは、大きな被害を受けた町屋なんですけれど、同様に計算しますと、桁行方向1/17、梁間方向は応答値なしということで1/10を超えて、計算上は非常に大きな変形になるという結果です。

実際にも、障子が1/10ぐらいと大きく変形していて、計算結果と合致しましたが、これくらい大きく変形しても実はこの建物、被害は受けてますけども倒壊することはないといいますか、建物全体としては大丈夫です。

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伝統構法の建物は限界耐力計算で検証したように大きな変形性能を持って地震に耐えていますが、実際には大きな被害を受けた建物もあるわけで、その要因を挙げています。

基本的には構造計画と言いますか、耐震計画が非常にまずいということです。





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posted by これ木連 at 10:58 | Comment(0) | 第5回勉強会(鈴木祥之氏)報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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