2010年12月07日

第5回[拡大]勉強会報告:腰原幹雄准教授<3>

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■建物の移動
柱脚を留めるか留めないかという話の整理をしてきました。
濃尾地震や姉川地震などの調査を元に昭和16年に地震学者の今村明哲が『鯰のざれごと』を書いています。昭和8年には田辺平学が『耐震建築問答』の中で触れたり、北伊豆地震での調査報告をまとめています。さらに、昭和23年の福井地震で久田俊彦の調査報告などがあります。

  

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ko_8.jpgそれぞれ震源地や地震規模は異なりますが、建物の移動量は20〜30cm程度のものから、大きいものでは1〜2m、さらにそれを超えるものがあったりしています。


移動して建物が壊れてしまったもの、逆に損壊が軽減されたものも調査からは読み取れます。


滑り量が過去の地震で比べたときにどうなっているのかを考えると、田辺平学、久田俊彦の調査から見てみますと、M7クラスの地震、さきほどの能登半島地震(M6・9)では25cmでした。
このへんだったら30cmから40cmぐらいで留まるのではないか。


解析をしてみてもそうですし、今の戸建免振の建物の振幅は30cmぐらいで抑えていることを考えても、この数字は解析的にも、被害調査からも妥当ではないか思います。

ところが、M8クラス、海溝型の地震で、少し大きいものが来たとすると、オーダーが急に数mになってきます。ですから、どの規模の地震を想定するのかということが、足元を留める留めないの議論には必要になってくると思います。


どのような地震を想定するのか。同じ地震でも激震地は多少あきらめてしまうのか。M8程度をそもそもあきらめるのか。
もっと大それたことを言っていくと、伝統文化と安全をどう両立するのかということがそこでの議論なのだと思います。


ただ、関東大震災を見ても、円覚寺の舎利殿など良い建物は、もう一回建て直されているということがありますので、いずれにしても地震で壊れる壊れないという前にいい建物を造って行くということが重要なのではないかと思います。

過去の地震の被害を見る限りは、今のようなことが分かりました。これからどういった建物を造っていくのか、あるいはどういった価値観でいくのかということは、こうしたものを見て判断していただければと思います。

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腰原研究室   http://wood.iis.u-tokyo.ac.jp/
Timberize   http://www.timberize.com/


posted by これ木連 at 16:54 | Comment(0) | 第5回勉強会(腰原幹雄氏)報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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